建築写真専門のカメラマンをしていて、お客様から“建築写真のアングルはどのように決めているか”という質問をよくいただきます。今回はこれについて説明をしたいと思います。
『①マストアングル』『②説明的なアングル』
『③イメージ的なアングル』『④設計意図が伝わるアングル』の4種のアングルがあります。 ①マストアングル。
①マストアングル
名の通り、建物の用途や空間について必ずといって良いほど撮影するアングルです。概要的で象徴的な写真となります。
戸建住宅ですと、「外観写真のファサード(正面撮り)」「外観写真の斜景」「玄関入り部」「LDK他、各部屋の全景」などです。
クリニックですと、「外観写真のファサード(正面撮り)」「外観写真の斜景」「エントランス外」「待合室全景」「診察室全景」などです。
ホテルですと、「外観写真のファサード(正面撮り)」「外観写真の斜景」「エントランス外」「ロビー全景」「フロント」「タイプ別客室全景」などです。
②説明的なアングル
ホームページやカタログ中の説明文に合致している写真のアングルです。
説明文が明確であるほど、アングルを決めることが容易です。ただし、1アングルで表現できない場合もあり、複数アングルにて撮影する場合もあります。
広い空間のアングルもありますが、比較的、“造作などのディテール”“設備”“小空間”“寄りめ”のアングルが多いです。
③イメージ的なアングル
主にデザインテイストを表現するアングルです。先の「説明的なアングル」とは対照的な写真となります。テイストを明確に表現した“イメージ写真”となります。
全てを写すのではなく、テイストの象徴となるアイテムを入れ、テイストを観る人に想像してもらう写真です。家具や雑貨や設置設備(主に照明)が入っている建物で撮影する機会が多いアングルです。
④設計意図が伝わるアングル
このアングル選びが最も難易度の高いアングルです。
実際に現場に立って、建物を見て、設計者の設計意図を逆読みし、設計意図が表現されたアングルを探り、撮影します。
- 敷地内や建物内に居る人が留まったり、寛いだりする際に見る風景・景色。
- 敷地内や建物内で垣間見る風景・景色
- 敷地内や建物内に居る人の同線が伺えるアングル。
- 縦・横の空間のつながり。
- 拘りの造作・ディテール・家具・設備・仕上材。
などがあります。
これらのアングルは、建築写真を多く撮影し、長年の経験と知識を積み重ねなければ撮影できないアングルです。建美写ではこの『設計意図が伝わるアングル』を見落とさないよう撮影しております。
故に、一度撮影依頼いただいた撮影依頼主様(お客様)から高い評価をいただいております。
特に設計事務所の建築士の方から「よくわかりましたね!」というお言葉をいただくことが多いです。