建築家の方や企業の社員様から、社内コンペや行政や団体に提出コンペ用の撮影のご依頼もよくいただきます。
ひとえに建築写真、竣工写真と言いましても、実は目的によって撮り方や補正の仕方が異なります。今回はそれについて、お話しさせていただきます。
最も大事なカットは建物外観写真
コンペのメイン写真は、やはり建物の外観写真です。
ファサード正面写真が基本となります。昨今の傾向としては、建物と外構の両方で、水平ラインを意識させる建物が映えるように思えます。青空とのコントラストも大事です。それにグリーンがあるとより良い写真となります。
太陽光の当たり方も正面よりやや左右に振った陽の差し方が良いと思います。あまり影が長くなると、建物の見た目に影響するので、建物の立体が僅かにわかる程度が良いです。横に長い影はNGです。
難しいのは、北面ファサードです。影が落ちず、立体感が出ず、晴れた空でも明るくとんでしまい、良い深い青になりません。
そこでどうすれば良いかというと、敢えて曇りの日に撮影し、後に薄い青空と合成します。これがベストな撮り方かと思います。よく北面の場合、昼間の写真があまり良いように撮れないため、夕景の外観写真をコンペに使われる方がいますが、これは最終手段にされたほうが良いかと思います。ある程度、コンペ審査において上位には入ることが多いようですが、最優秀賞には選ばれない話をよく伺います。建物のエクステリアが見えないからかもしれません。
建物前面道路が狭く、正面撮りが出来ない場合、斜め撮りをしますが、建物正面左右どちらから撮った方が良いかはある程度、現場で予想はつきますが、私は必ず左右両方から撮るようにしています。
稀に、現場で見た目と、写真で見た目が違って見えることがあるためです。
外構全景の写真も必要ですが、生活者の日常の視線も重要です。
ガレージや庭はもちろん撮影しますが、アプローチの仕上げや門塀やサインポールを入れて、生活者が敷地内に入って玄関ドアに向かうアプローチを必ず撮影します。
それと、ガレージには車があったほうが良いことが多いと私は思います。車が無いとガレージは少し間が抜けた印象になります。
庭に芝がある場合は、芝の部分だけ、水を撒いたほうが緑が少し深く写ります。
玄関入ったところの視線と、玄関に付随する空間
玄関に入った時に目に飛び込んでくる室内空間を撮るようにしています。ニッチ、階段、居室への建具の他、サッシがあればそこからの陽の差し方、地窓があればそこから見えるモノを意識しながら撮影します。もちろん、アクセントになり得るペンダント照明や壁面絵画、置物雑貨なども重要です。ただし、アクセントはあまり多くないほうがよく2つか3つまでが良いと思います。
最近、一番驚いたのは、壁の後ろからプロジェクターを当てて、動く柄模様と文字を投影している壁です。これは驚かされました。
家族写真をフォトフレームに入れて飾る空間も素敵だと思います。今は壁紙クロスに家族写真をプリントして壁に貼れるので、それも素敵だと思います。