建美写のカメラマンが、“竣工写真カメラマンとして心がけていること”をお話したいと思います。
“設計意図”を現場で的確に読み解く
最初に現場に入っておこなうアクションが、建物全体を見て回り“カット数の割合”“撮影時間”を把握することです。
その後、各空間の撮影に入るのですが、撮影中、最も神経を使うのが、“設計意図の読み解き”です。これが建美写の撮影術の最大の特徴です。日本で3名くらいしか持っていない特別な資格をもつカメラマンだけができるノウハウです。
『敷地・建物内に居る人に見てほしい目線・景色』『空間同士の繋がり』『同線を表現したアングル』など設計担当者様が拘った点を的確に読み解き、それを写真に表現します。
この読み解きが“早く”“的確”なので、設計担当者様やお施主様に高い評価をいただき、満足いただいています。
“トレンドを把握し続ける”習慣
建築物には、“デザイントレンド”があります。写真で見えてくる部分としては“エクステリアデザイン”と“インテイリアデザイン”。
常に移り変わるトレンドを、住宅展示場・ホテル・商業施設・飲食店などオープンなスペースを巡ったり、内覧会に招待いただいたり、雑誌を読みあさったりして、トレンドを感覚的に吸収するようにしています。
そして、それを写真に表現する際に、どのように写せばデザインの良さが明確に表現されるかを自分なりに考えて、頭の中にデータベースのように保存するようにしています。
これが日常、建築写真カメラマンとして最も大事にしている“習慣”です。
“情報収集”という趣味
エクステリア・インテリア以外に趣味的に楽しんでいることもあります。「住宅設備」「建材」「家具」「照明」の情報収集です。
これらに関しては幸いにもショールームがあり、気軽に見学をすることができます。
スタッフの方とも顔見知りになり、時には仕事の依頼をいただくことがあります。
現場で撮影していると、なんとなく使っている「住宅設備」「建材」「家具」「照明」がどのメーカーの何かがわかるのも、撮影していて楽しいところです。
工夫
カメラ本体やレンズのメンテナンスはもちろんですが、その他に“短時間でスピーディーに”“的確に”“建物を傷つけないように”撮影する工夫を心がけています。
最も工夫しているのは、三脚です。同じ製品を買い替えながら、もう10年以上使用しています。
“高さ調整”しやすいように、伸縮スライド部分にシリコンスプレーをかけたり、
“垂直・水平出しが早い”ヘッドを使用したり、“移動が楽”“建物を傷つけないように”軽くしなやかな脚の製品を選んでいます。いつも意外に思われるのが、上等な三脚にありがちな重く固いものは使用しません。
重く固い三脚はカメラ位置を安定できますが、撮影時間がとても長くなり、緩やかな凹みを床に作ってしまうので、気軽に屋内の床の上に立てれないです。
あとは、ストロボ類は基本的に入れない。入れても、極最小限にします。
普通のカメラマンが、間違ってストロボを入れて、設計意図を崩してしまったり、光源が増えることによる不自然さに気づかないことということも多いです。何でも明るく写れば良いというものではないというのが建築写真です。